いよいよ、2020年。それは、私たちが6年間に渡り、先輩から後輩へ、バトンを繋いで目指した、夢の1年です。
私たちが目指してきた夢とは、「ひとりでも多くの人が関われるオリンピック・パラリンピック」です。
2019年は、オリンピック・パラリンピックのチケット販売や、聖火リレーのランナー募集、ボランティアの研修の開始など、オリンピックへの「関わり方」が爆発的に開示された年でした。
しかしながら、その「関わり方」に対する門戸は極めて狭く、いずれも高い倍率を誇っています。人々の関心の高さに対して「関わる」ハードルが高いという、世間の需要に応えられないこの現状。
それが、ブラックボランティアなどに代表されるオリンピック・パラリンピック批判に結びついていると感じています。
私たち学生団体おりがみの歴史は、まさにこの現実と向き合ってきた歴史といえるでしょう。
ーー
2014年8月。私が大学1年生のときに、学生団体おりがみを結成しました。
団体設立当初、世間ではオリンピック・パラリンピックの開催の有無という根本から、大きく揺らいでいました。
競技場問題や、エンブレムの盗作問題などは、この時期に起きた事件でした。
そのようなニュースは、私たちの団体にも災いし、「オリンピック・パラリンピックに加担する団体」として、多くの人から非難を浴びてきました。
ただ、私たちにとって何よりの問題は、「オリンピック・パラリンピックに向けて何をすればわからない」ということでした。
「何ができるかわからないが、何かをやりたい」という不安定な活動もまた、多くの批判にさらされます。
何ができるかわからない中、私たちはオリンピック・パラリンピック会場周辺のゴミ拾いから始めていきましたが、メンバーのモチベーションを保ち続けることにも苦労し、一時期はたった一人で活動していました。
それでも、2020年にワクワクしてしまったから。
ただ胸に込み上げてくる熱い気持ちだけをコンパスにして、必死にもがき続けていました。
すると、2020年が近づくにつれて、周囲の理解も広がり、私たち自身も成長し、少しずつ少しずつ、不器用ながらも前へと進んでいた。
気がつけば、200人以上のメンバーに囲まれて、オリンピック・パラリンピック公式イベント「東京2020参画プログラム」を申請できる日本で唯一の学生団体にまで成長していたのです。
ーー
私たちの6年間の学びは、「普通の学生」はいきなり「挑戦者」になれないということです。
多くの若者は、それぞれのコンプレックスを抱えて生きています。
挑戦をしたくても、何かしらの要因がそれを妨げ、もがく者も多いことを知りました。
それを打破するためには、たくさんの経験を積み、誰かから必要とされ、自分自身とゆっくり向き合っていくような機会が必要です。
おりがみは、「オリンピック・パラリンピック」を旗印に、それぞれの「やりたいことは何か」という問いと向き合いながら、ゆるやかに成長していくコミュニティです。
普通の学生が、社会課題解決のヒーローに育っていく。
うえの夏まつり、Tokyo2020キャンドルナイト、パラコネクトプロジェクトなど、多くの革新的なプロジェクトが生まれ続けています。
若者は、夢を持てないことがコンプレックスでありながらも、その夢を見つけることが何よりの原動力になり得ます。
そして、それぞれが見つけた小さく不器用な夢を、社会の大きな物語と接続させていくことで、自分を徐々に肯定し叶えていくことができるようになっていくのだと思います。
このような、挑戦する若者の存在こそが、超高齢社会を進む日本において、社会の希望になるのだと考えています。
ーー
いよいよ、2020年です。世代を超え、多くの学生たちが繋いできた夢を成し遂げるには、まだまだ仲間が必要です。まだ見ぬ仲間たちとの出会いを楽しみに、これからも、「ひとりでも多くの人が関われるオリンピック・パラリンピック」を目指します。
そして、そのレガシーを描き続けます。
私たちがここまで歩みを進めることができたのは、決して学生の力だけではありません。
温かく見守っていただいた学校の先生方や、多大なご支援をいただいた企業・行政の皆様をはじめ、周囲の支えがあってこそ、ここまでたどり着くことができました。
まずはこれまで育ててくださった皆様に、心より御礼申し上げます。
そして、これから支えてくださる皆様とも、共に歩みを進めていくことができますよう、切に願っております。学生団体おりがみを、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。